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【SaMAL Report】 第1回 アートリンクキャラバン in 逗葉

投稿者:SaMAL
2017.7.3

開催日:2017年6月24日(土)

6月24日、今年度のSaMALの第1回アートリンク会議(SaMALミーティング)+人材育成講座(SaMALレクチャー)が逗子のキリガヤ会議室で開催された。人材育成講座は、昨年度までは、横浜・関内メディアセンタービルの関東学院サテライトキャンパスで金曜の夜開催していたのだが、今年度からアートリンク会議と連続してSaMAL参加団体の地元を持ち回る形で行うことにしたものである(合わせて巡回型なので「SaMALキャラバン」と呼ぶことにした)。

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今回のSaMALミーティングのテーマは「どうしてアートマネジメントの側に立つのか?—実行委員について考える」。推進委員の松澤氏の進行で、実行委員になった動機・理由、実行委員になって得たこと(メリット)、失ったこと(デメリット)について、そしてメリットの拡大策・デメリットの解消策について、グループに分かれて論議し、それぞれ発表・コメントし合った。詳しくは、後日まとめて推進委員会などで報告があるだろうが、主なところは、実行委員になった理由は「何となく、いつの間にか」とか、「頼まれて」、「逃げ損なって」など消極的な声が多かったが、メリットとしては「新しい出会い」、「(大変だけど)楽しい」、「行動範囲が拡がった」など、他方デメリットとしては「時間が潰される」、「他のプロジェクトに行けない」、「人間関係がこじれる」など。解決策としては、「目標の明確化」、「役割分担」などによる負担の軽減や、「報酬」(必ずしも金銭的なものではなく、「やりがい」や「評価」なども)といった意見が出された。

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コーヒーブレーク(関東学院大の学生さんによる薫り高いコーヒーとケーキ)をはさんで第2部のSaMALレクチャー。

講師は、富士の山ビエンナーレ実行委員長の谷津倉龍三氏。富士の山ビエンナーレは2014年に第1回が開催され、昨年第2回が開催された、まだ新しいアートプロジェクトである。一見、全国に急増している「○○ビエンナーレ・トリエンナーレ」の一種と思われるが、ここの大きな特徴は、まさに地域住民が昔からの地域の繋がりを守るために、住民の力で立ち上げた点にある(第1回目の2014年は、資金も100%地元企業等の寄付も含めすべて自分たちで出し合った)。

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このビエンナーレの開催場所は、富士川をはさんだ両岸、西側の旧由比町、旧蒲原町、東岸の旧富士川町、富士市鷹岡地区、そして富士川上流の旧芝川町である。これらのうち、由比、蒲原、富士川の3町は、10年前までは庵原郡を構成していて、旧東海道の宿場町として知られていた。しかし新幹線、東名高速ができてからは完全に通過地になり、観光客もほとんど見かけなくなったこともあって、平成の大合併時に、(当初は「庵原市」という形で合併することも検討されたというが)由比・蒲原は静岡市に、富士川は富士市に、芝川は富士宮市に吸収合併されてしまったのである。谷津倉氏は旧富士川町で、株式会社ヤツクラという事務機器販売会社を経営しており、青年会議所などの中心的なメンバーとして庵原郡3町の町おこしに奔走していたが、分裂合併により夢は潰え、そうした中でアートフェスティバルの案が生まれてきた。
富士の山ビエンナーレは、まさにこの幻の「庵原市」をアートによって人々の絆の中で産み出そうという試みなのであった。

谷津倉氏たちは、大地の芸術祭や中之条ビエンナーレなどを視察、どうしたら自分たちも、そうした現代アートのプロジェクトが作れるか、中之条ビエンナーレのディレクター山重徹夫氏を口説き落とし、FGAK(富士の山現代アートを語る会)で勉強や検討を重ね、旧3町の住民27名で実行委員会を結成、山重氏をディレクターに迎え、地元住民の連帯と協力により第1回目のビエンナーレを成功させた。(第2回は静岡県文化プログラムのモデル事業に認定され資金援助も得たが、しかし予算の半分以上は住民達の努力で賄っているという。)

SaMAL参加のプロジェクトとは、地域の事情も異なるし、またプロジェクトのコンテンツもかなり異なるが、地域発の形で住民の力により行おうという点では共通点も多く、また運営の苦労や課題も共通するところが少なくなく、とてもいい刺激になったと考える。

(報告者:伊藤)

相模湾・三浦半島アートリンク(SaMAL = Sagami Bay and Miura Peninsula Art Link)とは、相模湾・三浦半島エリアにおいて活動する地域発住民主体のアートプロジェクトやアート関連団体を連携させ、相互に協力するネットワークを構築しようとするものです。 それぞれの団体の問題解決力、情報発信力、マネジメント力を高め、地域での活動をより深化させることを目指して、2015年に始まったプロジェクトです。